会津駒ケ岳 山行報告
中村(記)
◆20日 天候:晴れ
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03:00 宮本会長のご自宅へ伺う。中村の荷物を会長のワゴン車に積み込み出発。
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06:30 一般道を経て檜枝岐滝沢橋登山口に到着。
途中小豆温泉から三つ岩への登山口と檜枝岐行きのバスの時刻を確認。午後は16:58の1本のみ。小豆温泉から滝沢橋登山口まで車道の距離は7キロ強。バスの時刻を見て駒から三岩への縦走は疑問のまま決定せず、滝沢橋まで向かった。
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07:00 準備を整えて行動開始。
途中田島の酒屋で仕入れた地酒を500ccのペットボトルに詰め替え、二人で分担。テント、共同食料、標識篠竹を中村が担ぐ。明け方曇っていたが次第に晴れ上がり、今日は絶好の登山日和。
林道をしばらく歩く。会長は快調に歩いていく。中村は歩くのが遅い。果たして駒の小屋までたどりつけるだろうか?
途中竜門の滝へ向かうが誤りに気づき、引き返す。
林道が終わりに近づき、尾根の取っ付きに到着。林道から尾根に上る階段がある。かなりしっかりした木製の階段だ。30年も前の昔になるが、残雪期にここを訪れた際、階段の場所が少し違っていたような気がする。当時は林道の終点にあり、階段ではなく梯子だった。遠い昔のことである。
このあたりは雪もそれほど多くなく、夏道をしばらく歩く。テレビのアンテナ近くで小休止。相変わらず会長は歩くのが早い。晴れの天気で暑い。
途中3名の登山者が追い越してゆく。日帰りの登山客で、行けるところまで行って引き返すらしい。この登山道を歩いているのは、自分たちより前に歩き始めた男性一人、そして追い越していった3名だけだ。
会長は木の枝に赤布をつけて歩く。
会長に追いついた。元気に自分よりもかなり早く歩いていたのに、遅れ出した。
高度を上げていくにつれ、左手に燧ケ岳や、駒から大戸沢岳に続く稜線が右手に、木々の間から見え始めた。大戸沢岳の稜線は白く輝いている。
春の陽の光を浴び、針葉樹特有のいい香りが気分を癒してくれる。この香りは昔も今も変わらない。
会長から先に駒の小屋まで行くようにと、指示された。
樹林帯が切れ、頂上の、たおやかな姿がはっきりと見え始めた頃、標識篠竹を立て始めた。明日天候が悪化し下山する場合、小屋からこの区間が一番危険だと判断した。目視で30メートルくらいの間隔だ。
かつて5月、単独で御池から大杉岳、大津岐峠を経てこの駒に来たとき、ホワイトアウトの恐怖を味わった。大杉岳までは日があり、残雪もそれほど多くなかったのだが、大杉林道を大津岐峠に向かって歩いているとき、尾根には残雪があり、西側からガスが上がってきて視界が5メートル程になった。踏み跡はずいぶん古く、ほとんどない。不安な状況でどのくらい歩いたろうか、サーッと風が吹き、地図にあるはずの送電線の鉄塔が一瞬確認できた。方向は間違っていない、助かったと思った。
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13:30 駒の小屋に到着。小屋の室温0度c。
小屋は東側が屋根まで雪に覆われている。各窓には木枠がはめられ、冬季の利用はできないようだ。小屋とは別棟で南側にトイレがある。小屋と同じくらいの大きさにびっくり。そのトイレの南側は、入り口なのかシャッターが開いており、中に雪が吹き込んで溜まっている。建物も大きいが、中も広いのでびっくり。
少し遅れて到着した会長を迎えに出て、早速報告。この晴れの素晴らしい天候の中、小屋まで歩いたことに大満足して喜び合う。
三岩まで縦走するのであれば、大戸沢岳あたりで幕営が適当かと思ったが、この小屋に泊まろうという会長の意見に反対しなかった。無理な行動をするより体調を考慮し、安全で風の心配のない小屋に泊まり、この景色を堪能するのもまた山の楽しみで、今日はこんな楽しみができるうってつけの山行日和なのだ。
広いトイレの中にテントを張り、水作りを始めて、宴会準備ok。担いだビールで乾杯し、小屋の屋根にできたつららでウィスキーオンザロック。こんな贅沢はどんなに美味しいレストランにもあるまい。田島で買ったお酒も賞味し、誰もいない山でささやかな宴会が始まった。
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16:00 頂上へ向かう。
水つくりが一段落し、少し酔って頂上へ向かう。頂上で乾杯しようと、お酒とお湯をサブザックに詰め歩き出す。この景色の中にいつまでも留まっていたい。至福の時間だ。日程を金曜日、土曜日に変更してよかった。
頂上の標識は半分雪で覆われている。この上にお酒を置き、乾杯。中門へと続く尾根は、たおやかだが、かなり遠いように見える。
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17:30 日没を楽しみながら、小屋に戻る。
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18:00 夕食開始。
今回のメニューは、豚汁、煮込みうどん。もちろんお酒も。味も量も大満足。
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20:00 消灯。
トイレは大用が利用できた。
◆21日 天候:曇り
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04:00 中村起床。
よく眠れた。2、3度目を覚ましたが、8時間の睡眠で、もう寝ていられない。まずは水作りから。5時近く、会長が起きだす。
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05:30 日の出を見に外にでる。
それほど寒くない。会長は、記録にとビデオカメラを回し続ける。自分は一足先に小屋に戻り、朝食の準備。メニューは夕べの残りの豚汁、インスタントラーメン。ほうじ茶が意外とさっぱりしていてうまい。
引き続き水つくりして、出発の準備開始。
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07:00 出発。
少ないが1,000円の小屋使用料をポストにいれ、小屋のシャッターを閉め出発。下山は大津岐峠経由キリンテへ。
富士見林道は東側に大きな雪庇が続き、それを避けながら歩く。標高2,000mほどのピークは痩せていて、この尾根を通過する際の一番の難所だ。三岩へ下山したほうが楽だったかもしれない、と会長。でもナイフリッジのように危険、という箇所ではない。むしろ雪庇を避けて樹林の間を歩くと、雪が腐っているため雪下の藪にズボズボ潜るので、こちらの対応に体力が消耗した。
無事危険箇所を通過し、大津岐峠に到着。峠の標識は雪下に埋まり発見できない。樹木の枝に標識が下がっていてひとまず安心。ここからはコンパスと地図をたよりに、下る尾根を見極める。下り始めてから約1キロあたりに小ピークがあり、左右の尾根に分岐している。その右の尾根に進む。この尾根を歩く登山者が少ないのか、赤布がほとんどない。コンパスと地図、それに今どこにいるのか周囲の景色の見極め力が頼りだ。幸い、右手に折れた尾根の何箇所かに赤布があったが、地図読みの能力が試された。このキリンテに向かうルートは、下る地点の見極めと、下るべき尾根を間違えないことがポイント。下山目標はキリンテ沢。
沢に300メートルくらい下る箇所はかなり急で、雪がザラメ状態、下りにくい。
しばらく急な下りと格闘した結果、沢に小さな橋が渡してある場所に出た。ここでグレープフルーツを食べ、水を補給し小休止。
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13:30 キリンテ登山口へ下山。
沢を渡り、あっという間に登山道へ出た。この後、車道を檜枝岐の中心部に向かい歩く。
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15:00 滝沢橋到着。
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身支度して檜枝岐温泉へ。
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20:15 宮本会長ご自宅着
◆春の駒を十分に堪能できた2日間でした。積雪はそこそこあったが藪の上では内部の雪が溶け空洞となり、歩くたびにズボズボともぐり、かなり体力を消耗した。わかんやスノーシューを担がなかったが、新雪でなくてもこの時期の腐った雪には有効だろう。次回(来年)は改めて三岩縦走を試みたい。
◆費用(二人分)
・食料、ガス等 3,600円
・ガソリン代 5,000円
・入浴料 1,200円
・駒の小屋使用料 1,000円
宮本・中村
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