礼文・利尻の旅

期間:2011年7月17日(日)~20日(水)



報告:村越


各地で猛暑日や高温注意報が記録されるなか望んでいた礼文と利尻の山旅に出かけた。大型の台風6号が接近している最中で台風の進路如何ではどうなるかの心配を背中に背負っての出発である。
ANA573便 羽田12:15-稚内14:05定刻に到着する。レンタカーを借りて稚内港に向かう。ぎりぎりで稚内港発15:25-礼文島香深港17:20 礼文島に第一歩を記す。島に一軒しかないコンビニで翌日の行動食と今宵の酒を仕入れ、桜井旅館に入る。清潔な宿できれいな若女将さんに案内され夕食をとる。北海の食材満載の献立に大感激しウニを特注して大盛り上がる。
夕食 洋上の利尻岳

礼文岳登山(490m)-休憩込み往復4時間
 礼文島は北緯45度35分日本最北の島である。全島は緑のビロードを張ったような丘陵地である。海岸線の平地に民家が並び建っているが、何か寒々しく映る。アイヌ語のレブン・シリ(沖の島)が地名原語であり人口は2992人である。島の真ん中に標高490mの礼文岳がある。香深から北に20分ほど向かうと内路の登山口がある。そこに車が20台ほど駐車できる駐車場がある。
 7月18日 午前4時起床 快晴無風 旅館の出窓から礼文水道を挟んで利尻岳の勇姿が浮かぶ。見ている間に霧が流れる。午前5時20分 登山口を出発。九十九折れにイタドリなどの雑木を抜けると、開けた笹原に出る。暫くするとダケカンバとナナカマドの林に入る。エゾカンゾウが斜面に咲いている。さらに30分ほど進むと日の光が差し込まないシラビソ(?)の密生林を抜ける。この間花らしきものはなくツツドリやコマドリの鳴声が無味な登山を癒してくれる。登山口からここまではだらだらとした登りである。残り1キロ地点からやや登りがきつくなる。植生もダケカンバからハイマツと変わりひとつのピークに出る。左手に利尻岳が裾に雲をたなびかせて浮かんでいる。可憐なハマナスをみる。ピークを超えると最後の登り、20分ほど背の低いダケカンバのトンネルを登りつめると、山頂下にレブンシオガマを見つける。7時20分 490メートルの山頂に到着。360度の展望に大感激である。雲ひとつなく無風、北のスコトン岬やトド島、金田岬にはるかかなたの樺太までの眺望である。早朝登山で一番乗り、山頂の独り占めである。暫くすると二人づれがやって来た。8時に下山 登山口に9時20分に帰る。途中行き会った人は26人である。
オニシモツケ 登山路
ピークから 山頂を
山頂下 イチヤクソウ
レブンシオガマ  ハマナス

山頂から金田岬

山頂から利尻岳

山頂からスコトン岬

礼文島散策
 礼文島は北部の船泊湾を挟んで右に金田ノ岬、左にスコトン岬が角のように張り出し、南に細長く延びた島はまるで鹿の顔に見える。天候の変化が激しく、前回同じ時期に来た時、スコトン岬は冷たい霧と強風に見舞われスコトン岬見学もほうほうの体で引き上げた記憶がある。ところが今回は地元の人も驚くほどの好天気である。その天気に誘われて島内の見物を礼文岳登山の後、楽しんだ。既に時期は過ぎたが、高山植物園でレブンアツモリソウを鑑賞する。白く清楚なアツモリソウに感動した。クマガイソウに似ていたが固有種だけに価値がある。植物園には礼文島に咲く多くの植物が栽培されている。
アツモリソウ レブンソウ
金田ノ岬は足を延ばしただけにして、スコトン岬に向かう。震災の影響で観光客も少なくお土産店は閑散としていた。快晴無風、最果ての景色が360度の視野で目に入る。
スコトン岬 千島ナデシコ
礼文島は花の島といわれている。夏はいたるところ花だらけである。ゴロタ浜は平地に高山植物が多くあるので有名である。澄海岬は礼文で一番美しいところという。カンゾウの花やレブンフウロ、トラノオが迎えてくれた。
澄海岬 岬からの西海岸
礼文島には4時間、8時間というトレッキングコースがある。レンタカー利用なのでショートなコースを選びながらお花観賞とした。南に戻り元地や桃岩、ネコ岩を見物する。桃岩はタマネギ状に岩が凝縮した珍しい岩で本当に桃の形をしている。レブンウスユキソウは礼文の森に群生しているが、今回はパスである。桃岩遊歩道は百花繚乱である。
 
レブンフウロ
 
トラノオ
 
シシウド 
 
ノコギリソウ
 
桃岩
 
XX 
金環日食記念の碑 遥か利尻岳
礼文島は昭和23年5月4日、金環日食が観測されたところでも有名である。その日に生まれた子供に「礼子」となづけた親がいる。最南端の知床に向かう。どんづまりのところまで行く。正面には洋上に浮かぶかのように利尻岳がこちらを見ている。

知床の岬 下は海水浴場

コンブ乾燥場

知床からの利尻岳
礼文島の北から南まで、さらに島の真ん中を鳥瞰的に眺めたくさんの高山植物を観ることができて満足な一日である。
 午後4時10分、香深港から礼文水道を挟んだ利尻島に渡る。4時50分利尻の鴛泊港に着く。港の近くのペンション「ヘラさんの家」が今夜の宿である。直ぐ近くにペシ岬がある。ペンションは、温泉つきの宿でロッジ風の造りである。夕食は手のこんだ料理で会席風な献立で美味しかった。利尻島はアイヌ語でリー・シリ(高い山)という意味で、利尻岳の火山島でもある。火山活動はいままでにないという。東半が利尻富士町、西半は利尻町で全島の人口は6月31日現在2431人で礼文島より若干少ない。

利尻岳登山(1721m)―休憩込み往復12時間
 当初の計画を1時間繰り上げて午前4時10分にペンションを出た。北麓野営場を4時30分に登山を開始した。15分ほどで名水百選の甘露泉水に着く。霊水を頂き、今日一日の安全を祈願する。ほどなく3合目分岐にでる。標高270m
 3合目からはカラマツ林をだらだらした登り、木製の橋を渡り、涸沢を横切り、ツルアジサイの白い花を眺めながら、ツツドリやコマドリの声を聞きながら進む。5:25 4合目に。
甘露泉水 4合目道標
5:35 4合目を出発 30分するとダケカンバの林に入る。足元は石ころの坂道に変わる。やや登りがきつくなる。
6:15 5合目に着く 展望が開け雲海に浮かぶ礼文岳の頂きが見える。
5合目道標 礼文岳を望む
6:20 5合目を発つ 頭がぶつかるほどの低木のトンネルが続く。マイズルソウが下地に群生している。
6:45 6合目(第一見晴台)に。雲海が一面埋めている。
6合目道標 稜線
6合目を出るとダケカンバの林越しに右の肩に稜線が見えるようになる。道は石がごろごろしていたり、木の根が張ったりして歩きづらい。7:15 7合目に着く。895m地点
7:25 7合目を発つ。ここから胸つき八丁にかかる。8:00 第二見晴台に
第二見晴台 リンドウ
8:15 第二見晴台を出る。登りはきつくなり石段状の道なので負荷がかかってくる。リンドウ、ゴゼンタチバナなどが目につく。8:30 8合目に着く。展望が開け今までの苦労がいっぺんに吹っ飛ぶ。何時の時代か知らないが、役所のお偉い方がここまで登ってきて頂上を眺めたことから長官山ともいう。緑の中に雪渓がアクセントをつけた利尻岳の上半分が紺碧の澄み切った空気の中に聳えてる。
8合目長官山 山頂を
8:45 8合目出発 なだらかな尾根を渡り、今日はじめての下り道を行くと、9:00に避難小屋を通過する。携帯便器のブースが小屋の脇にある。環境を守るため携帯便器の使用が義務化されている。ブースは何箇所かある。避難小屋は水場もなく小屋も古い。登りはかなりきつくなってきて、道も悪く所々手が入っている。9合目近くになると視界も広がり、足元にはエゾツツジ、アズマコギク、イワベンケイ、ハマナスなど利尻岳は花の山という片鱗をみせてきた。沓形コースとの合流地からやや登ったガラ場にリシリヒナゲシの可憐な黄色い花を見つけた。後ろから来た若い女性が教えてくれた。9合目の看板の杭の脇に一輪あった。絶滅のおそれがある希少種である。
9:35 9合目に着く。

名前のわからない 高山植物


イワベンケイ

9合目下の登山道

エゾツツジ

リシリヒナゲシ
9合目道標  名前わからず XXXX
9:55 9合目を出発。ここからが正念場のお墨付き(看板)が立っている。9合目を出ると直ぐに急坂になる。15分ほど潅木の中を進むと視界の開けた尾根に出る。左手のキレットに雪渓が残り、雪が消えたところには真黄色のボタンキンバイが絨毯を敷いたように広がっている。ここから上はガラ場の連続である。2歩進んで1歩退く状態でロープをしっかり掴まないと危険である。やっとの思いで頂上に到着する。山頂は溶岩の上にちょこんと乗っている感じであまり広くない。祠が祭られている。南稜は危険で立ち入り禁止である。360度全開の眺めに大感激である。ボタンキンバイ、トラノオ、チングルマ、クワバキクカタ、リシリゲンゲ、イワヒゲ、ツガザクラ、ハクサンイチゲ、ミソカワソウ、シコタンソウ、ナデシコなどの出迎えが山を極めた人への褒美である。
10:55 山頂に

お花畑

ローソク岩

南稜1721m
山頂神社1719m  山頂から鴛泊 XXX

シシウド越の沓形

ボタンキンバイ
XX
リシリゲンゲ チシマフウロ

左手上 礼文島

ノコギリソウ

頂上直下のガラ場
5時間25分の長丁場であった。快晴無風の山頂に45分眺望を楽しみ、名も知れない高山植物に胸をときめかせて11時40分山を下りる。下り口でウコンウツギを見つける。ガラ場を慎重に下り、午後4時20分 登山口に下りる。往復12時間(正味10時間)さすがに最後は筋肉が悲鳴を上げたが楽しい一日であった。利尻岳の登山は環境保護のため携帯トイレの携行が求められている。さらに直登が続くので2本ストックがよい。
 利尻最後の晩餐は、ヘラさんのオーナーの心づくしでムラサキウニの「いちご煮」である。

帰 路
 7月20日、朝から風が鳴き鴛泊の港はさざなみが立っている。鴛泊港を8時40分にフェリーで稚内に向かい、台風6号の進路が気がかりであったが、予定通り稚内副港市場で土産を買い、宗谷の岬に向かい日本最北端の地に足跡を残してきた。広大なウインドーファームを回り稚内空港に戻る。幸いに台風の影響もなく予定通りANA574便
 15:05発羽田行きで帰る。離陸して直ぐに雲の上に出て羽田まで続くが大きな揺れもなく定刻17:20羽田に着く。家には19:40に
帰る。
 
ヘラさんの至極のウニ
 
いちご煮

日本最北の碑

北緯45度31分14秒 15℃

レーダーサイトと牧場

広大なウインドーファーム
 今回の礼文・利尻への山行は村越夫妻の企画に便乗させていただいたもので、日程、旅費、宿の選定など智子さんのご尽力によるもので、大変感謝しています。 天気良し、宿良し、食い物良し、酒良し、仲間良し、良いこと尽くめの4日間であった。

費用
①基本 ああ 72,300
②礼文島 旅館桜井 10,000
③利尻島 ヘラさんの家 5,500
④稚内―羽田航空券 5,000
⑤レンタカー 11,600 (一人分)
⑥稚内―香深 フェリー 19,070 (車両込み)
⑦乗船券 2,300
⑧香深―鴛泊 フェリー 6,110
⑨乗船券 830
⑩鴛泊―稚内 フェリー 16,830
⑪乗船券 2,080
⑫ガソリン代 1,277 (二人割り)

2011.7.17-20 同行 村越春夫・智子夫妻




トップに戻る      山行記録に戻る