残雪期の会津駒ケ岳

山行記録

期間:2012年3月31日(土)~4月1日(月)



報告:井原

3/31 水戸発4:10―滝沢登山口8:35―階段9:54/10:06―駒の小屋17:45
4/1 駒の小屋7:25―・1990mポイント8:05/8:15―共同アンテナ9:55―階段11:05/11:15―上ノ沢・下ノ沢出会い12:00―駐車場12:15

残雪を求めての触れ込みで駒の小屋泊り、下山は当初三岩岳から小豆温泉に下る計画であった。天気は荒れるとの予報が出ている。日和見主義を自認する筆者は正直ビビっていた。一人で行くときはすぐ中止するのだが、軟弱なマインドは封印して皆の力でより高みに至るのがパーティ山行のメリットである。先ずは現地までは行ってみてから見極めようというのがリーダーのいつもの方針である。予定通り水戸を五時頃出発。一般道を通り約四時間で檜枝岐に着く。昨年のここの山行より一月早く雪が多い。残雪期の会津駒に十数回の登山をしているリーダーが雪の多さに驚いていた。テニスコート脇の駐車場にて我々が身づくろいしている間に、後から着いた山スキーヤー二人連れが早くも先行していく。8:30駐車場出発。

宮本氏撮影 国道からの登山口に入るところもこの雪の量

天気は崩れるのが予報より遅れてまだ降ってこない。「これはヒョットして天気持つのかいな」と淡い期待をいだいてしまった。(3/31水戸は大荒れで残留会員、家族は心配したようだが現地は冬山に戻ったがそんなにひどい冬山ではなかった様に思う)国道から滝沢登山口に入るといきなり雪道である。林道は避けショートカットして尾根を登るが最初から結構きつい。

林道からすぐ尾根に入る

標高1100mの林道の夏道の終点木の階段まで夏の倍以上の時間かかる。(標高2132.4mの)「駒が岳まで5.3km」と表示があり先の長さが思いやられる。雪の踏み抜きが多くなりこの先でワカンやスノーシューをつける

ここまで1時間10分 標高1100m 後5.3km、絶句

しばらく急登が続く。その内にやはり天気悪くなり小雨となり、それはやがて雪に変わる。1650m地点から傾斜は緩やかになりシラビソの樹々の間を歩く。


宮本氏撮影 雨から雪に変わり冬山の様相となる

今日つけられたワカンやスキーのトレースはかき消されてなくなってくる。雪の深さは15cmぐらい。ブナの木に打ち付けられた赤の板、幹に巻きつけられた赤テープ、枝につけられた赤布を追って尾根を登る。なかなかはかどらず10回ぐらいは休憩した。高度が上がると風も強くなる。そうなるとリーダーは「体が冷えるから止まらず歩け」というが、筆者は雨で濡れた手袋が凍ってきて指の凍傷の恐れある。止まってもらいスペアーに替えてフェイスマスクもつける。リツちゃんは手袋の中にインナーをつけたもよう。彼女は一時寒く気分悪くなって足止まる。お湯を飲んで防寒着を着込んでもらったら以後足止まることなく行軍に耐えた。森林限界を越え樹々がなくなると風が一段とキツク吹き飛ばされないかと心配であった。ようやく1990mポイントに出た。10m以下のギャップなのだろう地形図には現れないが緩やかなピークで方向がわからない。吹きさらしの中一時路頭に迷う。赤いポールが設置されているのだがそれが見えない。吹雪いていて見通し利かないのと、全員がメガネをかけていてそれが凍っていて近眼の人が裸眼状態なのである。地形図を見てコンパスをセットしようと試みるが、「地図はすぐ取り出せるところに」と言う鉄則に背いてザックに入れておいたのだが、ザックのストラップが凍っていて緩められず下ろせない。背負いやすいようにとストラップを締め付け過ぎたのは問題であった。先には進めないし戻るには山深く来ているし(16:00を過ぎていた)、これは森林帯に逃げ込んで雪洞掘ってビバークも止むなしかと覚悟したが、少しガスが切れて辛うじてポールが見えた。一安心するが、次のポールがなかなか見えない。ここは団体の力で、先頭の筆者は他のメンバーが見失わない範囲内で先に進みポールを追った。一人では難しかったであろう。チームワークで乗り越えられた。後で知ったのだが1990mから駒の小屋までは水平距離約500m、この間16本のポールが建っていた。その間5m下って25m登って10m下り40m登る。なかなか小屋に着かず最後の40mの上りは壁のように思えた。小屋を発見した時の嬉しかったこと。小屋の入り口は3m程の雪の階段を降りる必要がある。小屋番さんに助けられてホウホウの体で逃げ込む。一人ではザックを下ろせずまたワカンも外せず小屋番さんの奥さんがはずしてくださった。小屋番さん夫婦の他に先客はスキーヤー四名。駐車場で見かけた方は三時間半で登った由。山スキーの威力思い知らされる。その方が親切にも紅茶を沸かして皆に振舞ってくれた。希望者には気付けに焼酎も入れてくれた。岳人の厚意親切に感謝である。小屋の中は雪で窓がふさがり暗くヘッデンが必須である。石油ストーブで暖がとれる。

宮本氏撮影 駒の小屋にて 生き返った感あり

疲れはててか今回は深酒なく食事量もいつもより少なかった様に思う。20:00に消灯。明日は午前中一時期回復してまた次の寒波来る旨の天気予報を小屋番さんが教えてくれた。夜のトイレ行は一仕事である。別棟に雪の中を長靴履いて15mぐらい歩く必要がある。天候が荒れていると遭難する可能性ありそう。

4/1  明るくなってから起床、外は吹雪止んでいる。7時過ぎ出発で駒ガ岳の山頂すらも割愛して往路を戻る。山スキーヤーは新雪に気持ちよさそうなシュプールを残して先に下っている。

小屋の小屋前にて、皆元気回復


天気機嫌のいいうちに旗を巻いて下山開始


天気回復し青空も出てきた

天気回復してきて、青空ものぞく。新しい積雪は30cmぐらいか?標高の高い方はアスピリンスノーである。昨日発見するのに四苦八苦したポールも「なあんだ、すぐ近くに次のがあるじゃないか」という状態である。

昨日見つけるのに苦労したポールも難なくみえる

南の富士見林道の尾根の先には燧岳、その右の白いのは至仏岳、もっと右に白いより平たいのは平ヶ岳だろうか。

左から燧岳・至仏岳・平ヶ岳

やがて樹林帯の尾根に入り下る。ワカンのパーティ6名、山スキーヤー数パーティ15名程が登ってきた。スキーヤーは思いかけない新雪に喜んでいるようであった。登るときは気が付かなかった共同TVアンテナを確認、この近く1350m付近で南東向きの尾根から東に折れる。ここが一番の急傾斜である。これ以降スキーで下るのは無理で、スキーのトレースは西の沢の方に行ったのだろう。雪崩が起きないか心配しながら尾根に逃げ込む。やがて木の階段に出て一息着く。テント一張あり。朝会ったワカンパーティは昨日自重してここに幕営したという。上ノ沢と下ノ沢の間の尾根は新雪(標高低いので重い)が積もっていてトレースなく様子が変わっていて登った時の面影ない。ルートはっきりせず出会いの橋まで尾根沿いに強行突破した。最後はズルズル滑り落ちる感じであった。

尾根の強行突破

ここからは15分ほどで駐車場に着く。檜枝岐の燧の湯で入浴して汗流す。我がパーティだけで貸切状態でゆっくりできた。

燧の湯 貸切状態でゆっくり出来ました

檜枝岐の名物裁ち蕎麦食して帰途につく。


檜枝岐名物は裁ち蕎麦

一般道通って水戸には18:30着した。

参加者 L:宮本 上田(正)、梅本、井原






トップに戻る      山行記録に戻る