韓国岳・開聞岳(924m) 山行記録

期間:2012年4月21日(土)~22日(日)



報告:渡辺

 船旅は、見送る人や見送られる人がオープンな場所で同時間を共有しているから、情緒的でアナログな時間が流れるが、飛行機での旅はゲートを出ると物理的に遮蔽されるからデジタル的で乾燥した時間が流れる。そんな思いを抱きながら鹿児島に向けて羽田を発った。

4月21日 羽田8:05-鹿児島空港9:55==高速==えびのビジターセンター11:00――11:35==えびの岳1292㍍==二湖展望台==えびのビジターセンター14:25==指宿フェニックスホテル(泊り)
4月22日 ホテル7:30==開聞岳登山口7:50==2合目8:05――頂上10:55==登山口13:25==鹿児島空港19:15――羽田20:55

低気圧の接近で雲の多い道中であったが、鹿児島上空に差し掛かると、雲が切れて新緑に萌える南国の大地が小さな飛行機の窓に飛び込んでくる。鹿児島空港は、桜は葉桜にかわりもうツツジが咲いている。空港から噴気があちこちから上がる霧島温泉郷を経て、えびのビジターセンターに着く。本来なら韓国岳を登るはずであったが、昨年からの新燃岳の噴火の影響でコース変更となり甑岳・白鳥山になった。しかし折からの低気圧の接近で雨風が強く、また予定が変更となりえびの岳を回り二湖展望台(白鳥山)コースになる。登山道に入ると、黄色い花が迎えてくれた。シロモジの花や同じ黄色のキリシマミズキの満開が無色の大地に彩りを添えてくれる。足元は霧島ツツジの群生であるが、まだ灰色の状態である。5月の下旬ごろが見ごろと言っていた。今年は1ヶ月くらい季節が遅れているという。
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えびのビジターセンター
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キリシマミズキの花

キリシマツツジの群生
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ノカイドウの解説板
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シロモジの花

えびの岳三角点1292m

えびの高原は季節の葉境期で華やかさはなかったが、シロモジやキリシマミズキの黄色にシキミや灰の木の白い花が遅い春を彩っている。霧島には日本でここだけの「ノカイドウ」の群生地や韓国で見つかったという「サワフサギ」という関東では聞きなれない木々が群生している。えびの岳(1292㍍)を経て、白鳥山の懐にある白紫池と六観音御池が展望できる二湖展望台に回ってくる頃には風が強く、カメラを構えただけで吹っ飛ばされそうになるくらいであった。えびの高原の回遊を楽しんで14時25分センターに戻る。
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サワフサギの群生林
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分岐

白鳥山二湖展望台
新燃岳のマグマ溜り?霧島温泉方面

今夜の泊りは、指宿のホテル。霧島からは約3時間の移動である。馬蹄型の錦江湾を薩摩半島の南端を目指して南下する。巨大な山川の石油備蓄タンクを見やりながら海岸線を走る。低気圧が離れつつあるとは言いながら雲は低く垂れ込めている。道中の景色は、台風に備えてなのか家の軒は低いし、家の周りは南洋系の花が咲いているが、まっ黄色の「イパア」という今まで見たことも無い花が印象的である。指宿フェニックスホテルの温泉や砂蒸し風呂で疲れを癒す。夜中雨風が強く窓を打つ。
ホテルの夕食_ 寛ぐ佐藤さん、菊池さん

 4月22日、AM5時30分起床、風雨は収まっているものの黒い雨雲が窓越しに見える。 7時30分ホテルを出て開聞山麓ふれあい公園に向かう。20分ほどで目的地に着く。ガイドは王子(おおし)田(でん)さん、五十過ぎの中々のイケメンである。公園から開聞岳は雲に隠れて見えない。9合目からは現在地が見えるという。桜並木のやや勾配のきつい川尻歩道を経て2合目出会が8:05である。開聞岳は典型的な円錐形の山であるが、底辺部が小さく標高があるのでそそり立つような円錐形であり、どこから見ても同じ形に見える。北東半分が陸地を南西半分が海を眺望できる。2合目から塹壕のような登山道と松とスダジイの混合林を抜けて行く。3合目8:40==4合目8:50ここから薩摩半島の最南端長崎鼻が見る。
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開聞岳登山解説
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2合目あたりの登山

5合目

5合目9:10ここからミズセンリョウやシキミの白い花が目につくようになる。6合目9:30タブの木やスダジイ、アオキなどの常緑樹の林が続く。7合目9:45この先はゴロゴロとした玄武岩が露出し乗っ越しの連続となる。開聞岳は、二重式火山である。その証拠が仙人洞といわれるところである。一度出来上がった山の上に溶岩ドームが重なった場所である。
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7合目 南西に回る
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仙人洞(昔の頂上)

8合目あたりの岩場

8合目10:10=7合目からは岩場の連続である。9合目10:30本来ならばここから登山口が鳥瞰できるはずであったが、雲が張って何も見えない。頂上10:55 ゴロゴロした安山岩が積み重なったテッペン924㍍である。頂上部は岩場でさほど広くはない。登山道は螺旋状に山肌を登るが、4合目あたりまではその感覚がない。7合目になると南西側に回り屋久島方面を眺め、9合目になると北東側の陸地を見下ろすことになり、ぐるっと山を巻いている感覚になってくる。
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頂上924m
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皇太子登山記念板

頂上部

 2時間50分の開聞岳の登山であった。生憎の天候で360度の展望を楽しむことはできなかったが、帰りに、4合目で長崎鼻から池田湖、遠くに大隈半島の山並みを眺められ、来た甲斐があった。13:25登山口に戻ると、お山はすっきりした全容を見せて我々に喝采しているようだ。
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4合目からの長崎鼻
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左に池田湖を望む

開聞岳全容

開聞岳は薩摩富士とも呼ばれる秀麗な姿の山である。知覧を飛び立った特攻機は、針路を開聞岳にとり、富士山に見立てて故郷や家族への別れをしたという。

飛行場から右―高千穂・中岳 中央―韓国岳 隣―えびの高原・白鳥山

旅費 63410円 外バス代(勝田―羽田)3500円、常磐線3500円

同行者 佐藤隆・菊池芳雄氏
2012・4・21-22




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