阿蘇・祖母山・久住山―三座の山旅

期間:2013年6月2日(日)~4日(火)



報告:渡辺

 昨年の春に開聞岳とえびの高原を山行し、秋に阿蘇・高千穂を観光して、遠くに望む祖母や久住の山々に魅入られてしまい、来年こそは日本百名山九州五座を征服するぞと、心に決めた。韓国岳は自然の猛威には叶わず当分見合わせであるが、残りの三座に登る機会を得た。今年は入梅が10日くらい早まってしまって、ツアー申し込み時と比べて思惑が外れて雨中の山行も覚悟しての山行となった。

阿蘇―高岳・中岳
 6月2日(日)熊本空港はどんよりとしていたものの雨はなかった。昨年の秋通った道路を思い出しながら初日の阿蘇登山口を目指す。仙酔峡から仙酔尾根を登るコースである。
 午後12時5分、コンクリートで舗装された登山道を15分ばかり上がると、展望の効く広場に出る。何時降ってもいい空模様である。表現が悪いがバカしか登らないといわれるゴツゴツした急な仙酔尾根を登りだすと、大粒の雨が落ちてきた。相当な急勾配の石コロの登山道である。足元はしっかりしていてスリップはない。雨中を2時間ばかり高度を上げると、高岳火口壁(1580M)分岐に出る。雨はあがっていたが霧が立ち込め辺りはもやっとしている。分岐を左に折れて高岳東峰方面に数分進むと乳白濁色のモヤの中からピンク色のキリシマツツジの群生が浮かび上がってきた。それは言葉に言い表せない美しい風景で皆感歎の声をあげた。3時過ぎ高岳(1592M)を過ぎて中岳に向かう。ゆるやかなガレ場を下り、なだらかな尾根を登ると3時40分中岳(1506M)に到着する。その途中は体ごと吹き飛ばされそうな強風に悩まされた。中岳の頂から見下ろす阿蘇の火口原は大自然の畏敬をまざまざと見せつける絶景である。中岳から火口西展望台に下りるが、幾重にも重なる溶岩層のガレ場を下り砂千里ヶ浜(1250M)を経由して西展望台分岐に4時40分ごろ到着する。標高差690Mの山行であった。今宵の宿は阿蘇休暇村「南阿蘇」である。

仙酔峡登山口

中間地点上の急斜面

高岳火口壁

高岳東峰のキリシマツツジ

高岳

中岳

阿蘇火口原

砂千里を望む

溶岩層の火口壁

祖母山
 6月3日(月)かって九州で一番高いといわれていた祖母山が今日の目的地である。雨はないが湿気が多く何となくすっきりしない天気である。北谷登山口は平日にもかかわらず多くの登山客で賑わっている。車のナンバーや会話から推測すると全国各地から来ているようだ。北谷登山口(1105M)を9時20分出発する。風穴コースと千間平とあるが、我々は千間平コースである。1合目から4合目までは杉や檜の林の登山道である。登り出しから結構急である。4合目からは笹道の登りになるが回りは紅葉落葉樹林である。1時間15分ほどで広い広場の千間平に出る。いったん登り返して下ると5分ほどで5合目に出、さらに10分ほど行くと祖母山や古祖母山が望める広場に出る。生憎の空模様で望めなかった。6合目からは塹壕みたいな狭い登山道で挙句にドロドロの泥濘である。7合目と8合目の間にある国観峠は祖母山が望める広いスペースで、ここからお椀をかぶせた二重カルデラの一端が見られる。9合目からはゴロゴロした石を跨いで登る。9合目から15分過ぎると、避難小屋分岐になる。ここまで来ると祖母の頂は間もなく、12時40分(1756M)の祖母山山頂に到着する。1等三角点のある山頂は結構広く大勢の登山客がいた。しかし雲が厚く下界はまるきっし見えない。祖母山ルートマップは、標高差651M累積832M、WCは登山口と9合目避難小屋、水は登山口、2合目と3合目の間、9合目避難小屋であるが、全体的には道中の展望はなく、道悪である。雨があると泥濘ズルズルと滑る。祖母山は1合目530M毎になっていて目安がはっきりしている。頂上を1時10分に出発し、3時45分北谷登山口に到着する。今宵は久住高原コテージである。

祖母山北谷登山口

三県境 道中篠の道

頂上1等三角点

九重連山―久住山・中岳
6月4日(火)くじゅうは何とも厄介な名詞である。山は「久住山」連峰を呼ぶときは「九重」町名は北側が「九重町(ここのえ)」となり、南側は「久住町(くじゅう)」でいずれも大分県である。そして山一帯を表記するときは「くじゅう」とする。昨晩泊まった久住高原コテージは文字通り久住山の麓の高原にあり、東に祖母山、南に阿蘇の五山、北に雄大な九重連山を望むことができる。ホトトギスやカッコウが清冽な朝の空気を切り裂いて啼き渡り、早暁の光が九重の山並みをほの紅く染める。午前5時の情景である。快晴登山日和である。
 牧ノ戸峠(1330M)からの登山である。7時50分石畳や階段の登山道を登りだす。10分ほどで大展望の東屋が現れる。さらに石畳が続き10分ばかり上がると沓掛山(1503M)にかかる。沓掛山は大きな石が重なりあった塊で、ここからの景色は天上の庭園である。今を盛りにキリシマツツジが全山をピンクに染めている。ハシゴや鎖を使って下る。50分ほどゆるやかな登りを進むと扇ヶ鼻分岐となり、広くて歩きやすい西千里ヶ浜になる。前方に中岳が聳えビューポイントである。星生山分岐を過ぎ20分ほどの岩場を越えると、久住分れ(1640M)になる。9時50分である。左11時の方角に三つの山から成り立つ三股山が、その遠くには双耳峰の由布岳が、12時には山全体がピンクに染まった平治(ひじ)岳が、1時には九重の主峰久住山が目に入る。久住分れから法華院温泉や北千里ヶ浜、坊がつるに下る。久住分れからガレ場を20分ばかり登ると、1787Mの久住山の頂上である。時は10時30分である。頂上は柱が1本立っているだけで祠なかんかはない。石コロだらけの広い頂上部である。展望はよくまさに九州一のお山である。中岳を映し込んだ御池を回って九州本土最高峰1791Mの中岳に11時30分着く
 下山は帰りの飛行機の関係から急ぎ足となり牧ノ戸峠の登山口に1時50分戻る。

コテージからの九重連山

大船山の裾 早暁の光

阿蘇五山

牧ノ戸登山口と石畳

沓掛山からの絶景

山中のキリシマツツジ

西千里ヶ浜 前方中岳

頂上を望む

久住山頂上

三俣山 遠くに由布岳が浮かぶ

御池と中岳

全山ピンクの平治山 中央―坊がつる

久住中岳

久住分れ付近のキリシマ

ヒメハギ
 久住山はキリシマツツジで有名であるが、ハルリンドウやマイズルソウ、数種類のドウダン、固有種?フクオウジソウ、ヒメハギなどの高山植物にもお目にかかれ、ホトトギス、カッコウ、ツツドリなどの夏鳥の鳴声も山行に彩りを添えてくれた。特にキリリーと甲高くなくアカショウビンの鳴声を聞くことができたのは幸運であった。
 今回の山行はクラブツーリズムの企画である。添乗員のHさん、地元人気山岳ガイドのA氏のお世話で楽しい3日間の旅ができた。感謝である

                                       2013.6.2-4 単独参加



    


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