南アルプス「白峰(しらね)三山」
北岳(3193㍍)、間ノ岳(3189㍍)、農鳥岳(3025㍍)

期間:2013年8月20日(火)~23日(金)



報告:渡辺

 水戸を深夜に発ち、奈良田の駐車場で少しばかりの仮眠をして、途中の開運隧道の開扉を待って、タクシーで広河原まで行く(料金1万7千円)。
 深田久弥は南アルプスについて「重厚で地味である。その魅力を理解するまでに時間がかかる」と山がたりのなかで語っている。私も僭越であるが、そう思う。三千㍍峰を数座有していながら尖鋭的でなく懐が大きくて山が黒々としてどっしりとしている。

8月20日 広河原―大樺沢―右俣―肩の小屋
午前6:10 広河原の駐車場から出発する。吊り橋を渡り広河原山荘を過ぎると北岳の登山口である。針葉樹林の上り口はゴツゴツした登山道で直ぐ分岐になる。大樺沢の沢コースである。最初は歩きやすい河原道であったが、高見を増すほどに土石の積み重ねが増して歩きづらくなる。森林限界を過ぎて北岳の勇姿が視界に入る頃、大樺沢二俣のバイオトイレが見えてくる。二俣で暫しの休憩。天気もよく八本歯の頭やバットレスの岩峰がよく見える。9:40右俣コースに入る。ダケカンバやナナカマドの樹林帯に入るが、急な登りが延々と続く。12:30白根御池小屋分岐に到着する。右俣コースからは今を盛りにお花が咲いていて疲れを癒してくれる。ここからは右手に小太郎尾根が目に入ってきて、肩の小屋の分岐がもう直ぐであると思うが、中々手ごわく分岐に出るのに1時間かかり13:30になった。肩の分岐からは360度の展開で鳳凰三山が頂に白い粉をまぶしたような山塊を、ついで反時計回りに甲斐駒の魔利支天、仙丈ヶ岳、遠くに御岳、乗鞍が望まれ、南には富士が堂々と目に入る。北岳の肩の西側を巻く登山道は色とりどりの高山植物が咲揃い、ハイマツのなかから雷鳥が姿を見せた。14:30標高三千㍍の肩の小屋に着く。小屋に荷物を置いての生ビールのうまさ、山の頂にたどり着いた者だけしか味わえない極みである。雷鳥が出たから天気に変化があると思ったらガスがかかり、ブロッケンハーケンが出現した。肩の小屋の夕食は、深海魚(名前を忘れた)の煮付けとワカメの味噌汁で美味しかった。小屋は2階建て平日で客が少なかったのでゆっくり寝られた。

広河原の吊り橋

大樺沢での休憩

右俣からの北岳

肩の分岐から仙丈ヶ岳

肩の分岐からのコル

肩の小屋 3000㍍

名も知らぬ高山植物

北岳山頂

8月21日 北岳―中白根―間ノ岳―農鳥小屋
 ご来光を山頂でとの計画であったが、天気悪かったので出発を遅らせて午前4;35となる。肩の小屋を出るとすぐに急な登り、ヘッドランプを頼りに最初のピークを越えると、白々としてくる。岩峰の西側を巻きながら高度を上げると5:35に頂上に着く。事前の話だと頂上は狭いと聞いていたが、実際は結構な広さである。当然ながら360度の展望で非日常的な世界を楽しむことができた。6:00山頂を後にする。急な下り坂や登り返しの繰り返しが続き、約350㍍下って北岳山荘に7:15着く。7:45北岳山荘を出て2つのコルを越えると、8:35、3055mの中白根山に着く。前方には間ノ岳の雄大な山容が軍艦のように横たわっている。中白根からは広い山稜をゆるやかに登ると途方もない広さの間ノ岳(3190㍍)の山頂に10:25立つ。山頂からは南アルプスの南部に属する塩見岳が逆扇面の形で正面に見え、その奥に荒川岳や赤石岳が雄渾に鎮座している。間ノ岳からは塩見への分岐がある。途中熊野平からやって来た若者に行き会う。南に富士の霊峰を仰ぎみて全展望のなかコーヒーを一服の糧として暫く休憩する。11:35山頂を出発する。正面に富士山を見ながら広い山頂を後にすると、一気に下りになる。はるか前方に赤い屋根が目に入る。絶好のビューポイントでいろいろなポスターになっている景色である。13:20農鳥小屋に着く。2800㍍であるから約400㍍弱下ったことになる。北側(西側?)に石を積み上げ軒の低い山小屋で1階建てである。仄聞ではここの主人は変わり者(実際本人がネットで書かれていることを自認している)?というが、いかでかまともである。甲斐犬を3匹小屋で飼っている。トイレがユニークと言うか傑作であった。崖の上に小屋を建て、排泄物を崖下に直接落とすというトイレで、考えようでは合理的で科学的である。閉口したのはクレオソートのキツイ臭いで、風に乗ってかなり遠くまで漂う。夕食はキノコ、木耳、コウヤトウフなどの煮物に味噌汁、結構美味しかった。夜は、眼下に甲府の夜景が輝いて見えた。月が雲間に見え隠れする天候である。

中白根山3055㍍

間ノ岳途中から富士山

北岳山荘からの北岳山頂

中白根から間ノ岳を

間ノ岳から塩見岳(右端)

間ノ岳頂上

8月22日 農鳥小屋―西農鳥岳―農鳥岳―大門沢小屋―奈良田―ヘルシー美里
 農鳥小屋午前3:25出発する。ガスがながれ暗闇のなか直ぐの急坂、ヘッドランプと踏み後を頼りにジグザグに最初のコルを越え岩稜の西側を巻きながら、4:40西農鳥岳(3051㍍)に到着する。5:00出発。ハイマツの中で雷鳥の親子6羽と出会い、起伏の多い岩稜を歩くこと約1時間余り、6:10に農鳥岳(3025.9㍍)に到着する。串刺し団子のような山頂標識がユニークである。6:50いよいよ白峰三山ともお別れである。本日のハイライト延々とした下りに入る。頂上下の東斜面に色とりどりの高山植物が花をつけている。幾筋もの尾根が眼下に広がり、どの尾根を下るのかなど話のタネにぐんぐんと高度を下げると7:40大きな鉄塔(黄色)がある下降点に着く。この塔はここで遭難した遺族が設置したもので2度と同じ過ちを起こさないようにとの祈りの塔であるが、ガスがかかると見落とす怖れがある。鉄塔を左に下降道に入ると、まさに逆落としのような急坂である。20分ほどで樹林帯に変わり、ハイマツ帯を蛇行したり、針葉樹の木の根を踏んだりと悪戦苦闘し一気に下る。河原に出たり吊り橋を渡ったりとやっとの思いで11:55大門沢小屋に着く。一杯1,000円の素麺が火照った体にラジエターの役割だ。12:20小屋を出る。広河内の流れに沿いながら丸太橋を何本も渡り八丁坂の急下りを経て、15:10発電所取水所、いくつかの吊り橋を渡り、16:20奈良田第一発電所に帰ってきた。農鳥小屋を出て実に13時間の帰還である。大門沢小屋からの下りは、川筋あり、ヘツリあり、樹林帯ありと変化に富んでいる。中央線で勝沼あたりに来ると、白峰三山が車窓から見えてくる。鳥形が出る農鳥の名前だけは知っていたがどれが北岳か分らなかった。そんなことで一度は日本で2番目の高さの北岳に登ってみたいと希望を抱いていたが、今回三千㍍の高山を5つも踏破できたこと最上の喜びである。ひとえにパーティの各位のご協力の賜物と感謝する。
 早川町のヘルシー美里、学校の再利用で温泉付の宿である。白峰三山の疲れを癒す今宵の宿である。清潔で安く食事も美味しい。

農鳥小屋を望むビューポイント

農鳥小屋2804㍍

甲斐犬

西農鳥岳山頂

雷鳥6羽

農鳥岳山頂

下降点

山中の渡河

大門沢小屋

発電所取水所手前の吊り橋

赤沢宿妙福寺のしだれ桜

講中札のある宿屋
日本ふるさと100選赤沢宿に寄る。身延山と七面山往還の宿場で30数軒が軒を寄せている。身延山を御参りし赤沢宿で一泊して七面山を御参り、また身延山へ帰る由緒ある宿場である。講中札が軒先に沢山かかっている宿屋が数件あるが、今は1軒だけの営業になってしまった。趣きのある宿場で一見の価値ありである。

2013.8.20-23  同行 田中・井原・竹村・宮本・小倉

引き続き、会長Blogでお楽しみください♪
南アルプス「白根三山」山行記録<その1 広河原~北岳肩ノ小屋>
南アルプス「白根三山」山行記録<その2 北岳肩ノ小屋~農取小屋>
南アルプス「白根三山」山行記録<その3 農鳥小屋~奈良田>
南アルプス「白根三山」山行記録<その4 番外編>




トップに戻る      山行記録に戻る