白山(2702m)
大空と大地の旅―北陸編
期間:2014年8月28日(木)~30日(土) |
白山は孤高の山である。白山の周辺には2千を越える山々なく北陸の地に裾を広く張って悠然と聳えている。アルプスなどの高山から展望すると、どこの山群にも属せず独り西のはずれに姿を見せてくれる。深田久弥は「白山ほど威があって、しかも優しい姿の山は稀だろう。仰いで美しいばかりでなく、登っても美しい山である」と表現している。
越中おわら節でも「越中で立山、加賀では白山、駿河の国では三国一の富士山」と謳われ、日本三名山に数えられている。
8月29日、白山登山口の一つ、別当出会まで6キロのところの建つ創業80年の「永井旅館」をAM5時に発ち、別当出会を5:35にスタートする。総勢28名の大部隊、宮下ご夫妻ガイドがついて、ゆらゆらと揺れる長いつり橋を渡る。
信じる力か、整備された石段を25分ばかり登る。クヌギやカシの雑木を抜ける。さらに高度をあげるとブナ林からダケカンバの林に代わってゆく。登山道の途中でイグアナドンに類する恐竜の足の化石があった。三本指の化石であるが単一なので正式な化石認定を受けていない。柱状節理や不動滝を右手に見ながら6:30中飯場に到着する。トイレや水場がある。ここから急こう配の砂防新道の登りになる。1時間ばかり急登の樹林帯を進むと別当谷を覗く別当覗に7:30着く。谷をまたぐ尾根は観光新道である。途中ガイドが花名前を教えてくれるので写真におさめてきたが、名前と花が一致するやら心配である。8:25甚之助避難小屋に到着する。2010年に移設新築された小屋でトイレも環境に優しいタイプのもので協力金を要する。水場はしっかりしている。ここでリタイアが2人出た。リタイアを申し出たことに敬意を表す。ここで帰りを待つことは相当退屈と思うが如何なものか・・・。
小屋からは樹林が開けてしばらく緩やか登りとなる。南竜分岐手前から急登になり、9:05分岐に着く。左手に別山を望み眼下に甚之助避難小屋が赤い屋根を見せ、はるか下方に
今朝渡ってきたつり橋が豆粒のように見える。ここからは視界が開けた登山道となり山肌を巻きながら高度をあげ、9:40に十曲りの石段に取り付き、延命水で力をつける。急登であったから延命水はドリンク剤に匹敵する。万人力を得て9:55黑ボコ岩に着く。
|
黑ボコ岩
溶岩が流れ出て冷えて固まったものでいくつも大岩があったらしい。岩の上に乗ると、室堂平ビジターセンターの屋根が望める。黑ボコ岩を過ぎると、ハイマツが広がり、林を抜けると広大 |
な弥陀ヶ原になる。溶岩が流れ出て冷えて固まったものでいくつも大岩があったらしい。岩の上に乗ると、室堂平ビジターセンターの屋根が望める。黑ボコ岩を過ぎると、ハイマツが広がり、林を抜けると広大な弥陀ヶ原になる。ここまで多くの高山植物をみてきた。低所のハクサンアザミ、名前が面白いハクサンカメバヒキオコシソウ、クロクモソウ、モミジカラマツソウ、カライトソウ、ナデシコに似たセンジュガンジュなど、また池塘ではクロサンショウウオを見つけた。高所になってからはアザミもタテヤマアザミとなり、妖艶な紅色のシモツケソウ、ピンクの鮮やかなハクサンフウロ、ミヤマキンポウゲなどが晩夏の風に吹かれている。長い弥陀ヶ原の木道を抜けてハイマツ群を登り切ると室堂ビジターセンター到着である。10:30、登り所要タイム凡そ5時間の長丁場である。天気は雲があるものの風もありさわやかな登山日和である。たっぷり昼食時間をとって英気を養い、御前峰を目指す。室堂から40分の行程であるが、これまでに体力を相当すり減らしてきているからきつい登りになる。ここで待機2名がでた。登山道の両側にハクサンフウロやイワキキョウ、ミヤマシロツメクサなどが咲き競い、つらさを癒してくれる。12:00白山奥宮つまり御前峰27002mに到着。あいにくガスがかかり火口原は見ることができなかった。白山というピークはなく御前峰、剣ヶ峰、大汝峰の総称で、幾つもの峰が重なりあって、白山という山の美しさを作り出している。片道6時間のきついつらい登山であったが登り切ってしまえば満足感と達成感で気分は躁である。
帰り道ガイドさんがクロユリの咲いているところに案内してくれた。とうに季節は終わっているはずだが、年間5万人もやってくる登山者のために白山の名物ともいわれるクロユリが命を長らえて待っていてくれた。また色抜けした白いハクサンフウロを見つけてくれた。
今回は日帰り往復登山である。往きに6時間かかっている。ビジターセンターを13:20に発つ。往きに気が付かなかった高山植物を愛でながら下る。三筋の沢を横切ったあたりで二匹のオコジョに出会う。人なれしたようでピイピイと鳴いて歩き回り暫し癒された。15:00甚之助避難小屋まで下る。朝にリタイアした2名が体力を回復して合流する。16:40中飯場に戻る。夏とは言え山中の17時前、何となく薄暗くなっている。別当出合に17:25到着する。往復12時間の長丁場、28名無事に帰還した。
永井旅館で名湯に浸かり山の幸満載の夕食で体力を養い、そして使い果たした12時間であった。しかし深田久弥が言うように「登っても美しい山である」であった。
白山には「ハクサン」と名の付く花が18種あるという。今日はハクサントリカブト、ハクサンフウロ、ハクサンカメバヒキオコシソウ、ハクサンアザミ、ハクサントリカブトを見つけた。黑ボコ岩から上はカメラが故障したので写真がありません。
28日 兼六園(全員) 白山白峰 永井旅館
29日 永平寺・東尋坊・久谷美術館(観光組) 山代温泉菖蒲亭
30日 白山スーパー林道 白川郷
別当出合登山口 |
カライトソウ |
ハクサンアザミ |
センジュガンジュ |
ツル人参 |
キツリフネソウ |
シモツケソウ |
ハクサンフウロ |
ハクサントリカブト |
イブキトラノオ |
モミジカラマツ |
タテヤマアザミ |
ダイモンジソウ |
|
|
|
|
|