ミヤマキリシマを訪ねての山旅
由布岳(1583m)・久住山(1786.8m)・中岳(1791m)
稲里山(1774m)阿蘇山(1592m)中岳(1506m)・韓国岳(1700m)
期間:2014年5月30日(金)~6月2日(月) |
九州への山旅は、2012年の開聞岳・えびの高原、13年の阿蘇山・久住山・祖母山、そして今年の由布岳・久住山・阿蘇山・韓国岳と3年連続となった。何故そんなに九州なのかと問われれば、北海道は雄大で広大、本州は屹立した険しい山脈だが、九州はたおやかで開放的でミヤマキリシマが素晴らしいからである。ミヤマキリシマが咲くと、山全体がピンク色に染まり浮き上がるように見える。
昨年、久住の頂上からピンク色に浮かぶ双耳峰の由布岳の遠景を見て、来年はここだと心に決めたのである。由布岳と法華院温泉に泊まってぼうがつる経由の大船山登山を考えたのであるが、このツアーがなく、今年は由布岳、久住山、阿蘇山、韓国岳のコースとなった。 昨年、久住山と阿蘇山について山行記を残したので、今回は由布岳と韓国を主に記し、久住山と阿蘇山については補充的にする。
1. 由布岳 5月30日 所要5時間20分
大分空港から高速を使って由布岳の正面登山口に午前11時30分到着する。蒼天の広がりであるが、黄砂が飛んで霞んでいる。コニーデ型の火山で双耳峰である。登山口は標高780㍍、広大な草原が広がる彼方に三角錐の主峰が浮かんで見える。11時50分草原に一歩を印す。カッコーやテッペンカケタとホトトギスが迎えてくれる。12時10分カエデと雑木の樹林帯に入る。登山道は整備されている。30分程高度を上げると、雑木林が開けた合野越展望所となる。あたりは赤松やカエデ、山桜の混合林である。ここで今年初めてセミの声を聞く。13時30分森林限界を抜けると、ミヤマキリシマがあちこちに見渡せる。眼下には湯布院の街並みが広がり、水田がキラキラと光って鏡のようである。西峰と東峰の鞍部周辺は溶岩でゴツゴツしている。そしてミヤマキリシマの群生で緑の葉っぱの中からピンクの花が浮いて見事な景色である。14時50分岩峰の東峰頂上に到着する。遠くに鶴見岳、花の山倉木山、雨乞山などが展望できる。足下には九州岳人の修行の場である「御鉢巡り」のコースが見えるが、手強そうである。15時10分下山を開始、17時15分登山口に到着する。5時間20分のゆっくり登山であった。黄砂がなかったら九重連山が遠望できるのだが残念である。由布岳は登山口からみると完全な双耳峰であるが、久住山から見ると西峰が飛び切り高く見えるから不思議である。由布岳の魅力は、「展望のよさ」と「登り易さ」そして「ミヤマキリシマ」である。頂上部は西峰のはしごや鎖場ありのアドベンチャー的な楽しみもある。今夜の宿は久住高原コテージである。
2.久住山・稲里山・中岳 5月31日 所要7時間20分
久住高原の朝はさわやかで空気が美味しい。ガスがかかり阿蘇五岳は見えないが九重連山はモルゲンゲート朝陽に赤く染まって早くいらっしゃいと手招きしているようだ。8時20分牧ノ戸峠(1330m)を出発する。登山口周辺はドウダンツツジが季節を迎えていたが、久住の売り物であるミヤマキリシマはひとつも咲いていない。
沓掛山の岩峰を超えても咲いていない。昨年はここから先が天空の庭園と表現しても誇張でないほどミヤマキリシマが咲き乱れていたのだが・・・。西千里が浜周辺でちらほらの状態で山全体が赤茶けで見える。頂上周辺のツツジは尺取虫がうじゃうじゃしてツツジを食い荒らしている。11時10分、頂上に立つ。快晴微風、360度の展望は九州を独り占めしているようだ。東を向けば大船山の巨岳が横たわり隣にピンクに染めた平治山、西に稲里山、北にどこから見ても三つに見える三股山が展開している。
11時45分、頂上を出発し稲里山に向かう。尾根をひとつ越えた程の距離であるが展望がよかった。12時20分、1774mのテッペンに立つ。火山礫の尾根を東に下ると、ぼうがつると中岳の分岐に出る。昨年は北側から中岳に登ったが、今年は南側からである。急登の岩場が続き変化があって楽しめるコースである。13時12分九州本土最高峰の中岳1791mに到着する。久住の山脈は「春は黒色、夏は青色、秋は赤色、冬は白色なり」と表現されるほど季節が多彩である。
久住山の今年は害虫の食害と開花期の遅れ等で花なしであるが、また来たいと思う魅力の山である。15時40分牧ノ戸峠の登山口に下りてきた。今夜の宿は阿蘇の休暇村南阿蘇である。
久住高原コテージ |
西の砂千里が浜 |
久住山頂上 |
稲里山 |
稲里山頂上 |
中岳ぼうがつる分岐 |
3. 阿蘇山 6月1日 所要5時間10分
快晴であるがスモッグ(黄砂)で靄っている。9時5分仙酔峡登山口を出発する。 ミヤマキリシマの名所である仙酔峡も全然花はない。聞くところによると、ガスにやられて花がつかないという。登り出しから急坂である。ひたすら登るだけというバカ尾根である。九州の岳人が穂高などへの訓練の場として使う手強い登りである。赤味がかった溶岩帯で登り易い。途中(7合目?)トラバースするところが一か所あるが全体的にはさほどのことはない。9合目にはマイズル草の群生があって癒された。
11時35分高岳分岐に出る。11時50分高岳頂上、2時間45分の登りである。 天気が良いので阿蘇の全景が見渡せる。高岳を12時30分に出て50分に中岳に到着する。噴火口の縁をぐるっと渡る感じである。ズルズル滑る火口壁を下り15分かかり砂千里を渡りきると、阿蘇登山ともお別れである。14時15分である。時間があったので噴火口を見学し、バスの中から草千里を眺め今夜の宿、霧島温泉に向かう。
4.韓国岳 6月2日 所要3時間
今回企画の最後の山登りである。曇天、天気予報では雨マークである。霧島神宮参拝を止めにして9時登山口を出発する。あたりはピンクに染まっている。ミヤマキリシマが咲き揃っていて感嘆の声があがった。登山道は整備されている。合目表示柱もついている。登山口の階段を登りきると硫黄山が目に入り、開けた窪地にはミヤマキリシマの群生があった。1合目から6,7合目あたりまで樹林が続き、その間にもミヤマキリシマが花をつけていた。5合目(1520m)の開けた展望所からは白鳥山、白紫湖、えびの高原が一望できる。森林限界を抜けると、風が強く突風が吹くと、体が吹っ飛びそうになる。10時35分頂上に到着する。風が強くて立っていられない。南には高千穂の峰と新燃岳が俯瞰できる。早々に下山し、8合目で雨が降り出し合羽を着る。12時に登山口に戻り、ミヤマキリシマを眺めながら遊歩道を下りてえびの高原ビジターセンターに戻る。
韓国岳登山口 |
硫黄山 |
5合目から咲き揃うミヤマキリシマ |
えびの高原 |
韓国岳頂上 |
高千穂峰・御鉢・新燃岳 |
今回の登山企画は4日間連続の4山登山である。余裕のある日程で天気も良く24名の大人数であるが、落伍者もなく楽しい山行であった。82歳の高齢者も元気に4日間登山した。メインの久住山に花がなかったことが心残りであるが、またの機会ができたと思えば救われる。
企画 クラブツーリズム 2014年5月30日―6月2日
費用:107080円 バス代:新田中―羽田3600円 電車賃:上野―勝田3900円
参加者 24名 最高齢82歳
現地ガイド ㈱シェルパ 山本氏
同行者 竹村氏
1. 由布岳
樹林帯のキリシマ |
ススキ野原の群生 |
東峰に咲き揃う |
御鉢巡りと西峰尾根 |
尾根遊歩 |
西峰を望む |
2. 久住山
久住高原コテージ |
湧蓋山を望む |
久住山頂上 |
稲里山
|
中岳・ぼうがつる分岐 |
平治山とぼうがつる |
中岳 南稜はしご場 |
中岳頂上 |
|
3. 阿蘇山
中間点から |
高岳分岐から登山道 |
高岳 |
立高岳頂上 |
中岳を望む 右手 |
中岳頂上 |
中岳 噴火口 |
火口壁 |
|
4.韓国岳
韓国岳登山口 |
硫黄山 |
ミヤマキリシマの群生 |
登山道 |
えびの高原 |
高千穂峰・御鉢・新燃岳 |
|
|
|