八幡平(1614m)山系 漫遊
期間:2017年8月19日(土)~21日(月) |
8月19日、午前3時20分ごろ水戸を発ち、常磐道から東北道にて八幡平頂上無料駐車場に11時に着く。当地には数度来ているが天気のよかったという記憶はあまりない。今回も宮城や岩手県は連続31日も雨が降って、気温も低く、稲作が心配だと報じられていたから、あまり期待していなかったが、今日の八幡平は、岩手山に雲がかかっているものの頂上部は晴れ渡り、アオモリトドマツやブナの原生林、針葉樹林が深い緑の絨毯を敷きしめたかのように彼方まで俯瞰できた。八幡沼や緑の森に浮かび上がった陵雲荘等の景色を楽しみ頂上部に立つ。今日の行程である頂上部からふけの湯経由、大深温泉に向かって、午前11時30分出発する。10分程進むと最初の湿原が現われる。湿原がいくつか現れて、草の湯分岐までは展望が開けた湿原である。リンドウやギボウシ、アザミが咲き乱れて気持ちを癒してくる。分岐を過ぎると、アオモリトドマツ、ダケカンバ、ハイマツなどの樹林帯に一変して展望のない退屈な登山道になる。藪払いをしてくれてあったから足元は安全であったが、これがなかったらと思うとぞっとした。踏み跡がほとんどない。途中ロープを使う急な下りが3,4か所あった。ふうふう言いながら長沼分岐に出たのが14時40分である。浅瀬にぶつぶつとしたアワがあちこちから出ていた。ここからも暫く樹林帯が続き、50分程歩くと突然視界が広がり、あちこちから噴気があがっている。ふけの湯についた。6.9キロの退屈な登山(下山)道であった。展望もなくこれという景勝地もなかったので写真も記録も少ない。
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頂上からの行程(赤い右手の線) |
途中の湿原 遠景頂上部 |
長沼 |
アスピーテラインを挟んでふけの湯の反対側にある大深温泉に着いたのは16時頃である。大深温泉は入り口に本館、先に湯小屋、さらに奥まってオンドル建屋が2棟ある。地熱源の上に小屋(立派な建物)を建てている。3日前にクマが出たと言い、建屋のガラス戸にクマの大きな手形が3つ付いている。肉球が分かるほどである。
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大深温泉 本館 |
オンドル建屋 |
温泉建屋 |
クマの手形 |
山の楽しみは食事である。沖漬けのイカの刺身、車エビ・ホタテのボイル、極上白魚、田中さん自作の野菜等食べきれないほどの食材にうまい酒である。同じ建屋に数日間湯治している熊谷氏夫妻を交えての大宴会である。熊谷氏は秋田小坂の方で、日立市へ小坂鉱山と日立鉱山の繋がりで親善訪問したという話から意気投合してのことで、四方山話に花が咲いた。温泉は高温の硫黄泉で雰囲気も泉質もよかった。
8月20日(日)、午前7時に八幡平の頂上。天気上々である。途中の展望台から八幡平山系の山脈や岩手山の巨魁がくっきりはっきり眺望できた。今日のコースである畚(もっこ)岳(だけ)から源太岳まで一眺めであまりの距離の長さに早くも戦意喪失である。
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頂上から畚岳経由松川温泉までの経路図 |
樹海ラインの花を愛でながら30分程下ると畚岳の登山口の看板が現われる。午前8時、畚岳頂上に。八幡平山系最高峰1578mである。八幡平の全景を見渡せ、天気がよければ鳥海山や月山まで見えるという。今日のコースは畚岳から諸檜岳、嶮岨森、大深山荘、源太ケ岳肩から松川温泉まで約12キロの裏岩手縦走路トレッキングである。幹事の前触れは、登山でなく下山であるというが、果たしてそうなるか。尾根道歩きなので全体的に展望が開けていて気分的に爽快である。残り少ない夏を貪るように夏や秋の草花が咲き競っている。キイチゴ、コケモモ、ナナカマドなどの色付きが印象に残った。途中には湿原や池塘が点在し、石沼のような大きな涸れ沼もある。ハイマツの林をホシガラスが松ぼっくりを探して飛び回っている。
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色づいたナナカマド |
立ち枯れシラビソ |
畚岳頂上 |
池塘とフトイ立枯木 |
諸檜岳(1516m)9時15分着、前檜岳(1481m)10時20分着、前檜岳頂上手前は広大なササ原で圧倒される面積である。嶮岨森の手前はやや急な登りになる。このあたりから大深山荘が俯瞰できる。嶮岨森(1449m)に11時10分着。ここから下りが続いて大深山荘に着いたのが12時12分である。新しい小屋でトイレも清潔である。大深山荘から松川温泉へのショートカットの道をとり、10分程で広大な大深湿原(12時35分)に出る。ここには甘露な水がコンコンと流れ出ている。草紅葉がはじまった湿原を横切り上り坂を登りきると、大深岳分岐(12時50分)に出会い、さらに1時間ほどで源太ケ岳分岐(13時50分)となる。
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諸檜岳 |
前檜岳 |
前檜岳過ぎの尾根道 |
嶮岨森をのぞむ尾根道 |
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嶮岨森頂上 |
大深山荘 |
大深湿原 水場 |
大深岳への分岐 |
この間はシラビソやダケカンバの樹林帯を抜ける。分岐から暫く急坂の下りが続き疲れのたまってきた下肢が疼きはじめる。高度が下がってくるとシラビソの樹林帯からブナの原生林と変わってくる。丸森川の渡渉(14時57分)を過ぎると比較的平らな登山道となり、松川地熱発電所の変電所を左に見ながら松川登山口に15時50分に到着し、温泉峡雲荘に16時に到着する。全行程9時間の長丁場であった。今宵の宿、峡雲荘は秘湯の宿である。大きな風呂と大きな岩風呂の露天風呂がある。静かな宿である。
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源太ケ岳分岐 |
ブナの原生林 |
丸森川の沢 |
名前わすれた |
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松川地熱発電所変圧所 |
源太ケ岳登山口 |
松川温泉付近図 |
峡雲荘 |
8月21日(月)、天気上々である。宿の周りのブナ林の木漏れ日がやさしい。至る所に「ヒメボタル」という案内板がある。女将に聞くと、6月から7月中頃まで山ホタルと言われる小さな「ヒメボタル」の乱舞が見られるという。ホタルの群れに立っていると、ホタルが手に止まるという。このホタルを見るために投宿するお客で賑わう。宿の近くに日本で最初に稼働した松川地熱発電所がある。昭和41年に稼働、認可最大出力23500KW
である。冷却塔は高さ46mで発電所の観光シンボルである。ここを見学した後に、昨日八幡平頂上の駐車場に車を置いてきているので、峡雲荘発午前10時28分のバスで樹海ラインを上り取りに向かい帰路に就く。我が家に18時に帰る。
深田久弥は八幡平について「八幡平はただ逍遥するのが楽しい」と言っている。それなのに平均年齢70歳超のパーテーが2日間、総距離20キロ、所用13時間のコースを歩いたのである。八幡平の駐車場から畚岳~源太ケ岳までの稜線が視認できるところがあり2日間の行程を重ね合わせて見ると、人間とは歩く(歩けるでなく)動物だとしみじみ実感した。しかし楽しい3日間の山旅であった。
2017.8.19-21 同行 田中夫妻、宮本各氏
費用 一人25600円 |
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