佐渡ヶ島 金北山(1172m)登山・豊かな自然と歴史探訪
期間:2018年7月13日(金)~16日(月) |
佐渡は30年位前に行ったことはあったが、このときに見た「金北山」を何時かは登ってみたいと思っていた。今回、梁山泊恒例の夏山登山として、井原さんが「金北山登山・豊かな自然と歴史探訪」の旅を企画してくれた。離島への旅は、天候によっては大きな変更を余儀なくされるので、企画が億劫になりがちだが、フェリーや宿の手配、行程の立案などに尽力されて感謝である。佐渡は新潟を背にして右手が大佐渡山地、左手が小佐渡山地で、真ん中が国仲平野である。金北山は大佐渡山地の中央部に位置し、頂上部に航空自衛隊のレーダー基地があり、馬鹿でかいレーダーサイトは国仲平野のどこからでも見える。7月14日早朝に新潟港に着いて、6時発の両津港行き佐渡汽船「ときわ丸」で国道350号線を渡って、9時前に両津港に到着した。3日間の佐渡堪能の旅の始まりである。
|
|
|
|
ときわ丸出港 |
佐渡の山影が近づく |
|
|
7月14日
山登りは明日であるから今日は観光がメインである。佐渡と言えばトキである。①トキの森公園に向かう途中、公園の近くの田んぼから飛び立つ野生のトキを見つけた。飛翔して羽を広げた姿は優雅でまさにトキ色そのものである。現在佐渡の野生のトキは350羽で遠くは長野県まで飛んでゆくという。写真に撮れなかったのが残念であるが公園の係員は、ラッキーですと言っていた。稲が伸びて姿が隠れてしまうので今は中々見つけることができないという。トキの森公園は「トキまで20㎝?」を合言葉に自然に近い環境で飼育されているトキの生態を間近で見学できる。
|
|
|
|
トキの骨格(空洞?) |
トキの標本 |
ゲージ飼育のトキ |
トキの親子 |
佐渡は流刑の地である。順徳上皇、日蓮、世阿弥、日野資朝などが代表である。②次の目的地、妙宣寺に向かう途中で、また、トキの飛翔を見ることができた。妙宣寺は「日蓮宗本山 蓮華王山 阿仏房 妙宣寺」という。日蓮が佐渡に流されて難儀していた時に、夫婦で日蓮を親身になってお世話をした阿仏房日得上人千日尼御前夫妻の旧蹟である。茅葺の仁王門をくぐると、右手に県内唯一の国重要文化財五重塔(朱塗り?)が建つ。石橋を渡ると再建された山門があり「阿仏房」の扁額がある。山門の右手に日野資朝の墓所がある。日野資朝は「正中の変」で死一等を減じられて、佐渡に配流されていたが、元弘元年(1331)の後醍醐天皇による元弘の変によって、参画できなかったにもかかわらず、正中の変の罪によりこの地で斬首になった。正面が本堂で12間4面の大堂、その右の大きな茅屋根が庫裡で上がり框にある赤松の角材は、佐渡随一の大黒柱である。千鳥破風の茅葺屋根は珍しい。地方の寺にしては珍しい大伽藍である。
|
|
|
|
仁王門 |
五重塔 |
阿仏房山門 |
日野資朝の墓所 |
|
|
|
|
本堂と庫裡 |
|
|
|
③次に国の史跡に指定されている国分寺に回る。聖武天皇の詔によって諸国に造られた国分寺のひとつである。7重塔や宝物旧紀があったが落雷や火災で失った。現国分寺境内の西側松林に東大寺式伽藍の礎石群が残っている。平安仏は国宝にもなったが、現在は、国重要文化財である。本堂の屋根には「鴟尾(しび)」が載っている。
|
|
|
|
国分寺案内 |
旧国分寺 |
国分寺伽藍礎石群 |
千鳥破風の茅屋根 |
④30年前に来た時にびっくりしたのが「佐渡歴史伝説館」の精巧なロボットの人形である。今ならそんなにびっくりするほどでもないが、その時はあまりにもリアルな人形の動きにびっくりした。佐渡に伝わる歴史伝説を一幕毎に表現している。順徳天皇配所の月や日蓮上人が佐渡配流のときに時化を鎮めた波題目、世阿弥の雨乞の舞、山椒大夫の安寿伝説、木下順二「夕鶴」伝説などが上演され、佐渡の歴史が早わかりである。歴史伝説館の隣に順徳天皇が在所していた真野御所がある。順徳天皇は承久の乱に敗れて佐渡に配流となり、在島22年無念の思い抱き46歳で崩御した。ちなみに後鳥羽上皇は隠岐に、土御門上皇は土佐へ配流となった。順徳天皇の「ももしきや 古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり」と詠まれている百人一首のラストが有名である。
|
|
|
|
佐渡伝説館 瑞鳥 |
精巧なロボット人形 |
真野御所 |
順徳上皇在所地 |
⑤世阿弥が佐渡に流されたこともあって佐渡には多くの能舞台がある。その一つに大膳神社の能舞台がある。
|
|
|
|
大膳神社能舞台 |
大膳神社 |
大膳神社縁起 |
古式障子桟 |
今日の佐渡探訪はこれまでにして、今宵の宿、ドンデン山荘に向かう。県道81号線の佐渡縦貫線を上って行くと、標高890mのところにドンデン山荘がある。眼前には両津港や国仲平野それに小佐渡山地が俯瞰できる。日本海を隔てて東の鳥海山、月山、飯豊連峰、弥彦、火打・妙高、立山、剣岳と展望が広がる。時間があることから2時30分に山荘を出て尻立山(940m)に向かう。カエデ、シャクナゲ、アジサイなどの低木が登山道を覆っている。20分程で山頂に着く。ここからドンデン池や避難小屋が見渡せる。帰りは金北縦走路入口経由で戻る。明日の足慣らしにいい塩梅のトレーニングになった。
|
|
|
|
ドンデン山荘 |
ドンデン山荘から展望 |
村越・井原 |
ドンデン避難小屋 |
7月15日
午前1時に夜空を眺める。満天の星が輝き人工衛星が見えた。4時32分東の鳥海山の右手から今日の第1光が上がってきた。野鳥の声が賑やかである。太陽が高くなるにつれ月山、朝日、飯豊の山体が次々と雲の上に浮かび出る。両津湾は油を流したような静かさで幾筋の白い航跡が見られる。金北山登山は井原、村越さんが行程7時間の縦走で、暑くなることを予想して、4時過ぎに山荘を出発した。渡邉、宮本は白雲台からのショートコースであるが、縦走組を迎えるための車の回送という大役を兼ねての行程である。白雲台9時10分に出発する。これから先は航空自衛隊の管理地内を歩くことになる。ゲート脇のロープを外して中に入るが何か緊張する。数分後、轟音を響かせて重装甲車が前方から下ってきて、びっくりした。
管理道路は全体的には砂利道であるが、コンクリート舗装道路がいたるところにあって、比較的歩きやすい。マツムシ平分岐までは結構な登りである。
ここに、昭和61年7月23日に起きた「よみうり128号機遭難」の慰霊碑がある。二の岳分岐でレーダー基地を回り込むように左手に道路が移り、暫くの間、下りとなる。登り返してブナ林が一服の清涼地なる。北ケ嶽、天狗嶽を過ぎ金北神社の鳥居をくぐると頂上である。頂上には使われてない巨大なレーダー基地が残っていて、これが下界からの目標物になっている。頂上に10時45分到着する。1時間30分の登りであった。既に縦走組は先着していた。約6時間の行程である。佐渡の絶景が真下に見える。11時15分頂上を出発し12時30分に白雲台に戻る。管理道路を歩く場合は航空自衛隊の許可を必要とするからご用心。この日、白雲台から登山したのは我々を含めて3組である。
|
|
|
|
レーダー基地 |
マツムシ平分岐 |
よみうり遭難慰霊碑 |
マツムシソウ |
|
|
|
|
金北山頂の旧レーダー基地 |
金北神社 |
飯豊連峰 小佐渡山地 |
巨大なレーダー |
大佐渡スカイラインを相川方面に進め、⑤佐渡金山―宗太夫坑・道遊坑を見学する。江戸時代の金山坑内(宗太夫坑)と明治以降の近代坑内(道遊坑)である。佐渡金山といえば「道遊の割戸」であろう。江戸初期の露頭手掘り跡で、山が真ん中からパックリ割れている。その地下に坑道がアリの巣のように掘られている。今宵の宿は、尖閣湾姫津の「佐渡ベル・メールユースホステル」である。宿の前の海岸はジオパークさながらの奇岩がつらなり、姫津大橋がロケーションに華を添え、雄大な自然の真っただ中にある。夕日が姫津大橋にかかり絶好のシャッターチャンスを得た。
|
|
|
|
佐渡金山解説 |
道遊の割戸 |
割戸の解説 |
姫津大橋の夕景 |
|
|
|
|
ユースホステル前の海岸 |
姫津港 |
イカの水揚げ |
イカ釣り船 |
7月16日
最終日である。帰りのフェリーが12時40分であるから、両津港には11時40分までに帰らなければならない。朝食が7時からである。外海府の北端の二つ亀を回って両津に戻るコースを考えたが、道路事情、交通状態を考慮すると、リスクを避けなければならなかったので、⑥尖閣湾遊覧と⑦佐渡金山奉行所跡、⑧北沢浮遊選鉱場などを見学して帰ることにした。⑥尖閣湾は「君の名は」で春樹と真知子が出会った場所として有名な場所であるが、「君の名は」は今ではアニメの方が有名である。姫津から北狄まで3キロの海岸に広がる5つの湾の総称、ノルウェーの「ハルダンゲル・フィヨルド」の峡尖美に似ているところから、尖閣湾と名付けられた。30m級の尖塔状の断崖が連なる(解説書から)。カンゾウの花が断崖に咲き乱れる季節が一番良いという。海中透視船で湾内巡りと海中の様子が楽しめる。⑦佐渡金山奉行所跡は、相川湾を見下ろす高台に位置し、安政6年に再建された様子を復元している。佐渡の金銀を管理するために置かれた佐渡奉行所は、他の奉行所と違い、奉行所内に居住部分、行政部分、直営工場の3つの要素で構成されている。⑧北沢選鉱場は、明治以降の近代化された設備群で、もともとは銅の製造過程で行われていた技術であった浮遊選鉱法を金銀の採取に応用し、世界で初めて実用化に成功したものである。
|
|
|
|
姫津大橋 |
尖閣湾揚島遊園 |
尖閣湾遊覧船発着場 |
海中透視船 |
佐渡には史跡や景勝地が数多い。今度で2度目の佐渡であったが、小木方面や外海府の北側には一度も足を入れることができなかったのが、心残りである。
|
|
|
|
船着き場の黒鯛餌付け |
遊仙橋 |
北沢選鉱場 |
|
|
|
|
|
シックナー選場 |
御料局佐渡支所跡 |
佐渡金山奉行所跡 |
|
費用概算
宿ドンデン山荘7600、ユースホステル6500、酒代1330、フェリー代8585、
高速代2697、燃料代5288、拝観料など2500
合計34500円
日程
7月13日夜出発 7月14日観光・ドンデン泊り 7月15日登山・金山見学
7月16日観光・帰宅
同行者
井原・村越智子・宮本・渡邉
|
|
|
|
トキの卵 |
妙宣寺 木の間からの本堂 |
千鳥破風の庫裡 |
杉林の五重塔 |
|
|
|
|
国分寺庫裡 |
旧国分寺境内 |
国分寺庫裡の煤竹 |
国分寺千鳥破風模様 |
|
|
|
|
真野 西古墳 |
大膳神社から大佐渡山地 |
ドンデン池 |
金北山頂からレーダー群 |
|
|
|